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場面緘黙症

~ 場面緘黙コラム ~ 場面緘黙症の症状や治療方法など言語聴覚士が解説します①

場面緘黙症を専門家が解説します

場面緘黙症を解説みなさんはじめまして!言語聴覚士の林です。私は、言語聴覚士として滑舌にお困りの方へ滑舌改善のレッスンを行っています。

みなさんは「場面緘黙症」や「緘黙症」に対してどのようなイメージがありますか?言葉が出なかったり、話したいのに話せなかったり…このようなことを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

場面緘黙症は、まだまだ認知度が低く、「とてもシャイな人」「引っ込み思案な人」と思われてしまい、あまり問題視されないこともあります。

2013年に改定されたDSM-Ⅴ(精神疾患の診断・統計マニュアル)では、場面緘黙(選択性緘黙)の分類が“不安症群”に改定されました。この改定により、状態がより具体化されました。

このコラムでは、場面緘黙症を克服したい!という方に向けて場面緘黙症の基礎知識や克服方法などを全5回のコラムで解説していきたいと思います。

 

話さないのではない、話せない!

場面緘黙症は、家庭では話せるけれど職場や学校では話すことが難しく、このような症状に長く悩まされます。恥ずかしがり屋だから、自らすすんで黙っているわけではありません。

このような症状を抱えていては

・うまく社会参加ができない…
・学校などの行事に参加できない…
・人間関係の構築がうまくできない…

といった問題につながってしまいます。

また、とっさに発言することが難しく気持ちを伝える手段が少ないため、誤解されてしまうこともあるようです。こうなってしまっては、さらに不安が強くなってしまい悪循環に陥ってしまいます。

そうならないために、場面緘黙症について正しい知識を持ちましょう!

 

話せないだけじゃない!?場面緘黙症とは

場面緘黙症の症状では、場面緘黙症とはどのようなものなのか、まずは具体的な症状をご紹介したいと思います。

場面緘黙症とは、職場や学校など特定の場所や場面で、一貫して話すことが困難になってしまう不安症の一種です。発話が困難になる特定の場面やそこで現れる症状は人それぞれです。声を出せないだけでなく、頷くことすらできない場合もあります。

他にも具体的に以下のような症状があります。

・全く発話ができない
発声そのものができません。
・小声で少しだけ話すことができる
大切なところだけなど、部分的に小声でなら話せることもあります。
・無表情
発声だけでなく、表情で返答をすることも難しいです。
・食事ができない
ものを口にすることや飲み込むことが難しいです。
・トイレに行けない
トイレに行っても用を足すことが難しいです。
・身体がこわばってしまう
力が入りすぎてしまうため、頷いたりすることも難しいです。
・身体に力が入らない
力が入らないため、うなずいたりすることも難しいです。

などです。このように、発話だけでなく身体症状や日常生活での動作にまで影響が出てしまうこともあります。これらすべてが出るのではなく、症状や重症度は人それぞれです。

 

きっかけは?場面緘黙症を知ろう

場面緘黙症の原因では、なぜ場面緘黙症になってしまうのでしょうか。

実は、場面緘黙症の原因ははっきりしていません。一つの要因で発症するのでなく、遺伝や気質、心理、発達、社会環境などの様々な要因が関与して発症すると考えられています。

ここでいう気質とは、行動制御的、脆弱的な気質のことをいいます。子どもの脆弱性や要因は場面緘黙症のリクスになることもありますが、脆弱な児童が必ずしも場面緘黙になるとは限らないといわれています。

具体的には以下のようになります。

生物学的要因:遺伝、気質、発達、等
心理学的要因:不安、苦手意識、等
社会的/文化的要因:生育環境、等

このように様々な要因が重なることで場面緘黙症は発症するとされています。

また、場面緘黙症の方にきっかけがあったかを伺うと、「些細なこと」「思い当たらない」という人が多いようです。中には、「子供の頃の虐待」などという人もいるようです。

その他の場面緘黙症について以下にまとめました。

・発症年齢:2〜5歳が多い
・発症率:小学生で0.15%くらい*
・経過:症状のピークは12〜19歳といわれている
*明確ではない
    
幼少期に発症し10代でピークを迎え、多くが自然に改善すると思われがちのようです。しかし、成人になっても症状に苦しむ人も多いのが現状です。成人の方の中には、緘黙症状が克服したにも関わらず、発話などの困難が持続してしまい社会不安社交不安に苦しむ人も少なくありません。そのため、できる限り早期に克服を目指すことが大切です。

 

場面緘黙症と併存する問題

場面緘黙症の発症は幼少期が多いことがわかりました。そのせいか、他の児に比べて言語発達が遅いケースが多いようです。このように言語発達だけでなく様々な問題を抱えていることがあります。

例えば、場面緘黙症の他にもコミュニケーションに問題を抱えていたり、言語以外の発達に何らかの問題を抱えていることがあります。どのようなケースがあるのか具体的にご紹介していきたいと思います。以下の3つに分けることができます。

・純粋な場面緘黙
 場面緘黙のみを発症
・言語障害などを併せ持つ場面緘黙
 吃音、などを重複
・発達障害などを併せ持つ場面緘黙
 ASDや知的障害、などを重複

前提として、場面緘黙症の方は言葉を発することができないため、併発している障害の有無を正確に判断すること自体がとても難しいです。場面緘黙症のみ悩んでいるケースもあれば、様々な問題が重複しているケースもあります。症状などは人それぞれ異なるため個々に応じた治療が必要です。

 

場面緘黙症の治療方法を解説

場面緘黙症の治療法次に、場面緘黙症の治療や克服方法についてご紹介したいと思います。場面緘黙症の治療は大きく分けて以下の2種類です。

①専門家と実施する治療
・不安症に対する心理療法
・フェンディング法、シェイピング法
・具体的心理療法*
・薬物療法
・音楽療法 など
*行動療法、認知行動療法、臨床動作法など

②周囲との協力による支援
・職場や学校での支援
・家庭での支援 など

このようにして、治療を進めていきます。しかし、確立された治療方法がないのが現状です。これは、場面緘黙症の認識の低さや専門家の少なさも要因といえるでしょう。

 

個々に合ったコミュニケーションを

場面緘黙症の症状や抱える問題は人それぞれであることがわりかました。さらに、生活環境によってコミュニケーションの工夫なども様々です。

治療には時間を要することもあります。症状が改善するまでコミュニケーションを取らないわけにはいきません。環境に応じたコミュニケーション方法を採用してみましょう。

・筆談
 →スマートホンや紙を用いる
・Yes/No質問
 →うなずき等で解答できる質問
・ジェスチャー
 →指差しなどを用いる

このようにコミュニケーションでできる工夫はたくさんあります。自分にできるコミュニケーション方法を探して検討してみましょう!

 

自信をつけて場面緘黙症を克服!

正しい知識をしっかりと共有することで、個々に合わせた治療や支援を求めることができます。次回以降のコラムは、場面緘黙症を克服するための方法についてご紹介します。内容は以下の通りです。

コラム② 場面緘黙症の種類と専門家と行う治療について言語聴覚士が解説
コラム③ 場面緘黙症の克服や治療をサポートする専門家を紹介
コラム④ 場面緘黙症を克服する周囲の理解と支援に必要な具体的な方法
コラム⑤ 場面緘黙症の原因や専門家と行う治療方法について言語聴覚士が解説

コミュニケーションは交友関係が広くなったり、得られるものも多く、とても楽しいものです。場面緘黙症を克服し、コミュニケーションを楽しめるようにしていきましょう!場面緘黙症は、まだまだ認知度の低いのが現状ですが、少しでも多く場面緘黙について知るお手伝いができればと思っています。

場面緘黙症で悩んでいる方だけでなく、場面緘黙症の方とコミュニケーションをとるときにも役立つと思います。正しい理解を持ちコミュニケーションをとることがとても大切です。

このコラムを通して場面緘黙症について、わかりやすくご紹介していきたいと思います!次回もお楽しみに♪

★話す事ができない 場面緘黙症は 早期の克服開始が大切!

 

*参考文献・書籍・サイト
1)Benita Rae Smith , Alice Sluckin編著,Jean Gross序文,かんもくネット訳:場面緘黙支援の最前線-家族と支援者の連携をめざして- 学苑社 P9〜253 2017.
2)久田信行, et al. "Selective mutism の訳語は 「選択性緘黙」 か 「場面緘黙」 か?." 不安症研究 6.1 (2014): 4-6.
3)かんもくネット http://asmjapan.org/ 
4)iSPEAK(成人の場面緘黙)http://www.ispeak.org.uk/


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