>
>
>

ウェルニッケ失語の方と会話をしましょう

ウェルニッケ失語

~ ウェルニッケ失語コラム ~ ウェルニッケ失語の方との話し方②

ウェルニッケ失語の人とお話をしよう

コラム①では、ウェルニッケ失語とは失語症の分類のひとつであり、発話は流暢で聴覚的な音素認識が非常に困難な失語症であることを紹介しました。

また、ウェルニッケ失語の人は遠くから聞けば正常な発話に聞こえるとも言われるほど自発話は流暢です。自発話に対して、話しかけられた言葉を理解できないことによって生じる問題について説明しました。

ウェルニッケ失語の方の多くは多幸的でありお話好きです。周囲の人が正しく症状について理解して、良い接し方をする必要があります。

今回はウェルニッケ失語の方へのアプローチ方法について4つに分けて紹介していきます。

いちいち間違いを指摘しない

ウェルニッケ失語の方とお話をするとき、言葉の言い誤りを指摘しないことが大切です。なにか変だな、と思ったとしても、患者様とお話を合わせて、スムーズに会話できているかのように接しましょう。

誤りを指摘しない理由として、ウェルニッケ失語の方は聴覚的理解が難しい点が挙げられます。間違いを指摘しても、何が間違いかを理解することは困難だからです。

ウェルニッケ失語の方の自発話をよく聞くと、言い誤りや、意味のなさない言葉、状況に合っていない言葉がとても多いことに気づきます。しかし、ご本人にはその認識が少ないのです。

ウェルニッケ失語の方とお話をする際には、ゆっくりお話しようとしても、話が通じないことも多いでしょう。ご本人のお話の意味がわからなかったり、明らかな言い誤りに気づくこともあるかもしれません。その誤りを指摘せずスムーズにお話をすることが、良いコミュニケーションへとつながります。

「はい」と「いいえ」のカードを作成しよう

ウェルニッケ失語の方の多くは、文章の読み書きも苦手です。文章を文字で書いて説明したとしても理解できず、ご自身で書いて説明することも困難でしょう。それでも、コミュニケーション手段の一つとして、「はい」「いいえ」で答えられる質問をして、どちらかを指差しで選んでもらうことは、試みてみる価値があります。

その際の注意点として下記を挙げます。
・分かりやすい言葉とジェスチャーを使って質問しましょう
・「はい」「いいえ」で答えられるように質問の仕方を工夫をしましょう。
・「はい」「いいえ」のカードは、大きな文字で書きましょう。

どちらかをたまたま選んだとしても、簡単な質問そのものの理解ができていない可能性もあります。必ず、ジェスチャーなどの非言語的な表現を併用してください。重要な質問の場合は、しっかりと確認をするようにしてください。

非言語的なコミュニケーションを用いてみよう

言葉だけではなく、ジェスチャーや絵など、非言語的な手段を用いて会話を行ってみましょう。

描画の場合は、話しかける側が描いて説明するだけではなく、ウェルニッケ失語の方にも描いてもらいましょう。ウェルニッケ失語の方は基本的に右片麻痺もないため、練習すれば描画という意思の表出手段を確立できるかもしれません。また、絵より文字のほうが得意であるかもしれません。その際、促しても行おうとしない場合は、無理強いしないようにしてください。

ウェルニッケ失語の方は非言語的なコミュニケーションも苦手であると思われがちです。しかし、そこで諦めるのではなく、コミュニケーションの中で、その人は何が得意かを一緒に探していくことが大切です。ウェルニッケ失語のように意思伝達の困難な失語症の場合は、その人にとっての伝達手段を早急に確立しなくては生活にも影響を及ぼします。

ウェルニッケ失語の方の意思を汲み取ろう

ウェルニッケ失語の方との会話のポイントは、コミュニケーションへの意欲を妨げないことです。ウェルニッケ失語の方は、お話をすることが好きです。しかし、会話が通じずに、相手にいつも怪訝な表情をされたり、何度も聞き返されたりすると、どう感じるでしょうか。

自分の話す内容が、相手にうまく伝わっていないことに気づき、だんだんと会話を楽しめなくなります。多幸的でお話好きで会った人も、徐々に心を閉ざしていきます。その結果、病気への意識ばかりが強くなっていきます。

大切なのは、言語的・非言語的問わず、とにかく意思伝達の手段を見つけることです。ウェルニッケ失語の方が話したい内容を、周囲が察して汲み取ってあげましょう。楽しい雰囲気の中でのスムーズな対話が、ウェルニッケ失語の方との会話に求められます。

次回はウェルニッケ失語コラムのまとめです。次回もお楽しみに!

★ウェルニッケ失語の方の言い誤りは指摘しないようにしましょう
★分かりやすい言葉とジェスチャーを併用しましょう
★「はい」「いいえ」カードを作成し活用しましょう
★お話の意図をうまく汲み取り、楽しい雰囲気で会話をしましょう

 

*参考文献
・失語症臨床ガイド―症状別理論と42症例による訓練・治療の実際, 竹内愛子, 2003
・失語症言語治療の基礎, 紺野加奈江, 2001
・新編 言語治療マニュアル, 伊藤元信 笹沼澄子, 2002



聴覚障害コラム
ブローカ失語コラム
ウェルニッケ失語コラム

4つのポイントでスムーズな対話を