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滑舌のトレーニング!原因別の正しい改善方法で言語聴覚士が徹底解説

滑舌改善トレーニング!原因と具体的な治し方を説明

~ 滑舌コラム ~ 滑舌トレーニング!原因別の正しい改善方法-言語聴覚士が徹底解説①

滑舌トレーニングを徹底解説

みなさん、はじめまして!言語聴覚士の林です。私は、言語聴覚士として滑舌にお困りの方へ滑舌改善のレッスンを行っています。本コラムでは、「滑舌トレーニング」について詳しく解説をしていきます。しっかりと対策をお伝えしたいので、このコラムを含めて4回に分けてご紹介していきたいと思います。このコラムは、全部で8分くらいかかります(^^; 少し大変ですが、是非お付き合いください。

滑舌トレーニングについて専門家が徹底解説皆さんは「滑舌トレーニング」と聞くと、どのようなことを思い浮かべますか?口や舌の体操、発音などのトレーニングを思う浮かべる方が多いのではないでしょうか。

滑舌が悪いなぁと悩んでいる人の中には、どんなトレーニングをしたら良いかわからない。どうせ良くならないだろう…など、トレーニング方法が分からないせいで、放置してしまっている人もいるかもしれません。

このコラムでは、滑舌のトレーニングについて詳しくご紹介していきます。滑舌を良くするためのトレーニング方法や選択するときのポイントなどを解説していきます。

滑舌は社会生活を左右する?!

滑舌に悩んでいる人は、こんな経験をした人も多いのではないでしょうか。

・また、聞き返されちゃった
・舌がもつれる感じがする
・なるべく話さないように…

このようなことを感じながら話していては、会話が嫌になってしまいます。それだけでなく、仕事やプライベートで人と付き合うことすら嫌になってしまうかもしれません。

Gierut, Judith A(1998)によれば
「音韻に問題があると個々の生活で設定する目標やそれに対する結果が良くないことがあり、社会的な行動範囲を狭めてしまう可能性ある。しかし、何らかの形で治療を行うことによって、その後の生活に良い影響がある。」
という研究結果があります。

これは
『滑舌が悪いとできる限りコミュニケーションスキルを必要としてない仕事についたり、進学を諦めてしまう可能性がある。しかし、治療をすることで社会生活を良くすることができる。』
ということです。

つまり、滑舌が悪いというだけで選択肢が少なくなってしまう可能性があるということです。せっかくやりたいことがあっても、滑舌のせいで自分のやりたいことを諦めてしまうことは、もったいない事です。

滑舌を良くして楽しく生活をしましょう!滑舌トレーニングで楽しい時間を増やそう

誤ったトレーニングは症状を悪化させる

滑舌トレーニングを解説する前に、滑舌を悪化させる原因を知らないでトレーニングをすると、どのような問題が起きてしまうかをご紹介します。

例えば、
滑舌が悪くなっている原因が「力んでしまうこと」である人が、早口言葉をするとします。

これは、適切なトレーニングではありません。「力み」は舌に不必要な力が入っているということです。早口言葉は、早く的確な発音が必要です。普段の会話でも力んでしまうのに、早口言葉を続けると余計に力みが強くなってしまいます。正しいトレーニングで滑舌改善を目指すのが大切

このような滑舌トレーニングを続けてしまうと、舌の力の抜き方がわからなくなってしまうため、舌の癖が強くなり、滑舌が更に悪化してしまう可能性もあります。

また、せっかく一生懸命トレーニングをしているのに、効果を感じられなかったり、話しづらくなってしまうと、トレーニングへモチベーションも下がってしまいます。

このような状況にならないためには、まずは自分の発音や舌の状態を知り、それぞれの原因や症状にあったトレーニングを行うことが大切です。

滑舌が悪くなる原因!舌の癖

では、滑舌が悪くなる原因について解説していきます。

滑舌が悪くなる原因のほとんどが機能性構音障害だといわれています。機能性構音障害とは「舌や唇などに明らかな原因がないにも関わらず、発音が苦手になってしまうこと」をいいます。

機能性構音障害による滑舌の悩みは、舌の癖から始まります。

舌の癖→舌をコントロールできない→発音を正しくできない

このような流れで、正しい発音ができなくなっています。

具体的には、余計な動きをしてしまったり、必要な動きを十分に行うことができなくなったりします。これが「滑舌が悪いと感じてしまう原因」です。

悪化の原因をセルフチェック

それでは、滑舌が悪くなる原因をセルフチェックしてみましょう!普段、話している時のことを振り返りながら当てはまるものにチェックをしてみてください。

1.□舌がもつれることが多い
2.□もごもごとした話し方になってしまう
3.□うまく発音できていないと感じることが多い
4.□息が漏れている感覚がある
5.□人に言われて自分の滑舌を気にするようになった
6.□誰かに指摘されるまで滑舌に悩んだことがない

当てはまった番号を確認してください。滑舌トレーニングに関するセフルチェック番号に応じてセルフチェックの結果を見ていきましょう。

1・2・3いずれに当てはまった
舌の動かし方が不得意

3・4いずれかに当てはまった
息の出し方が不得意

5・6いずれかに当てはまった
音の識別が不得意

セルフチェックはいかがでしたか? これは、あくまで可能性のセルフチェックです。ここで大きく分類した後、さらに具体的な原因を確認していき、それぞれに合った滑舌トレーニングを選びます。

自分に合った滑舌トレーニングを選ぼう

では、いよいよ滑舌トレーニングの選び方をご紹介していきます。実際のトレーニング内容は、滑舌が悪くなっている原因や症状(=悩み)によって変わります。

症状とその対策を具体的に説明します。大きく以下の3つがあります。

①舌の動かし方が不得意

舌の癖が原因
舌を正しく動かせない原因は、舌の脱力ができないことです。舌に不必要な力が入っている状態なので、舌をコントロールすることはできません。すると、柔軟な動きをすることができず、発音が曖昧になったり、違う発音になってしまいます。

舌トレとは?
舌の脱力を身につけるための練習として舌トレを行います。舌トレとは、舌の力を抜き余計な力が入らない状態を作ることです。自分では力を入れていないつもりでも、完全に力を抜けていないことも多いです。この練習をマスターすることで、効率的に滑舌のトレーニングを進めていきます。

舌の脱力を身につけると、必要な時に舌の力を抜くことができます。これができるようになれば余計な力が入っていない状態で、舌を正しく動かすトレーニングを進めることができます。詳しくはコラム②で紹介しています。

②息の出し方が不得意

発音すると息が漏れる
息が漏れてしまうのは、舌の使い方が苦手なことが原因です。舌の使い方が間違っているため、本来の息の通り道を通ることができず、息が漏れてしまっているということです。話していると口角の辺りに唾が溜まってしまったり、息が漏れる感じがする人は要注意です。

息の出し方を意識する
発音は、口の中の動きと肺からの呼気でできています。そのため、息の出し方もとても大切です。息の出し方を意識すると舌の使い方もうまくできるようになる人もいます。舌の使い方だけでなく、息を出す方向や速度などを意識すると正しい発音の感覚を掴みやすい人もいるようです。

息の出し方を意識して発音すると、自然と丁寧に発音するようになります。そのため、力まずに発音することができます。意識するポイントはコラム③で詳しく紹介しています。

③音の識別が不得意

耳が歪んだ発音に慣れてしまう
滑舌の悪い人は、幼い頃から悩んでいることが多いです。そのため、正しくない自分の発音に慣れて耳が鈍感になってしまっています。発音に違和感を感じているけど、どこがどのように悪いのかを判断することが難しいという状態です。

耳は滑舌の識別センサー
自分の発音を録音して意識的に発音を確認することで耳を鍛えることができます。耳を鍛えることができれば、聴覚的フィードバックができるようになり、自分の発音がどのように歪んでいるのかを自分で確認することができるようになります。具体的な手順は、コラム④をチェックしてみてくださいね。

トレーニングの目標

滑舌トレーニングについてわかったところで、滑舌トレーニングの目標を確認しましょう。

滑舌トレーニングの最終目的は「正しい発音を日常生活に生かすこと」です。

当たり前のことのように感じるかもしれませんが、舌を動かしたり、発音の練習をしているうちにトレーニングと目標が一致していないのではないかと感じてしまう人も少なくありません。

滑舌のトレーニングは、地道なことの積み重ねです。一気に滑舌を改善させるトレーニングはありません。目標を達成するには自分に合ったトレーニングが一番の近道です。そのためにも原因を知り、自分に合ったトレーニング方法を見極めましょう!

トレーニングでのお約束

最後に、滑舌のトレーニングをする上でのお約束の解説をします。

滑舌のトレーニングは地道なことの積み重ねです。そのため、必ず1度は挫折を経験します。挫折したときや挫折しそうなときに思い出したいお約束を2つご紹介します!

1:焦らないで話す
焦ると人は早口になりやすいです。早口になると、話す速度に合わせて舌をいつもより速く動かす必要があります。早口になってしまってはトレーニングを正確にすることができません。

また、焦って話すと力みやすくなります。焦って力んでしまうと練習がうまく進まないということにもなりかねません。丁寧に発音することを心がけましょう!

2:焦らないでトレーニングを進める
滑舌トレーニングは地味ですが、地道に繰り返すことで改善が目指せます。早く滑舌を良くなりたいからといって、どんどん先に進んでしまうと効果が十分に得られない可能性があります。

また、自分に合っていないトレーニングをして変な癖がついてしまうこともあります。こうなってしまっては、せっかくトレーニングをしても、なかなか結果に繋がらないという事態にもなりかねません。無理に先に進まず、自分に合った段階のトレーニングをしましょう。滑舌トレーニングで改善を目指そう

この2つは滑舌のトレーニングをする上でとても大切なことです。お約束として、しっかり心にとどめておいてくださいね。

滑舌トレーニングの効果・適切な頻度

滑舌のレッスンをしている方の多くは「1人でトレーニングを進めるのは、長くても2週間が限界だ」と言います。その理由は、自分のコンプレックスに向き合い地道な練習を繰り返さなくてはいけないからです。

程度によりますが、効果を感じるまで少なくとも1ヶ月はかかります。これは毎日10分〜15分自主トレーニングを行った場合です。トレーニングを行う頻度が少なくなれば、効果が現れるまで、もっと時間がかかってしまいます。

毎日滑舌のことだけを考えて生活できれば、それに越したことはありませんが、なかなかそうできないかと思います。

焦らずゆっくり丁寧に!これを忘れないでトレーニングに励みましょう♪地道にコツコツ続けると、昨日よりも今日、今日よりも明日と少しずつ良くなって、滑舌トレーニングの効果を実感できると思います!

滑舌トレーニングの基本!舌トレ

なかなかうまくトレーニングを進めることができずに、諦めてしまいたくなることもあると思います。これらの多くは、早く良くなりたいなどの“焦り”からくるものです。

そんな時は、録音した自分の声を聞いてみましょう。完璧ではないけれど、改善しているところが見つかるはずです。今の自分の発音の状態はどんな状態なのか、録音をして聴き比べながらトレーニングをしてみてください!

地道にトレーニングしていけば滑舌はよくすることができます!トレーニングを行って滑舌を良くしていきましょう。

次回は「滑舌トレーニングの基礎 舌トレ」について詳しく紹介していきます。次回もお楽しみに♪

★自分に合った滑舌トレーニングを!焦らずゆっくり丁寧に!目標を忘れない

 



*出典・引用・参考文献、書籍
1)阿部雅子. "構音障害の診断と治療." 音声言語医学 43.3 (2002): 316-324.
2)本間慎治.言語聴覚療法シリーズ7 改定 機能性構音障害 建帛社 (2007): 11-116
3)Gierut, Judith A. "Treatment efficacy: Functional phonological disorders in children." Journal of Speech, Language, and Hearing Research 41.1 (1998): S85-S100.

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