>
>
>

呂律が回らない!原因別の舌の練習法を言語聴覚士が専門解説

呂律

~ 呂律コラム ~ 呂律が回らない!原因別の舌の練習法を言語聴覚士が専門解説①

呂律を専門家が解説します

みなさんはじめまして!言語聴覚士の林です。私は、言語聴覚士として滑舌にお困りの方へ滑舌改善のレッスンを行っています。

みなさんは「呂律」と聞くと、どのようなことを思い浮かべますか?舌がもたついてしまう、発音がはっきりしない、などを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。呂律が回らないとは?呂律はもともと、中国から伝わった雅楽の「りょりつ」という言葉が語源だといわれています。舌がうまく回らず、発音がはっきりしない状態のことをいいます。こうなってしまっては、言葉にコンプレックスを感じてしまったり、話すことが億劫になってしまうこともあるかもしれません。

このコラムでは、呂律について小さな疑問をお持ちの方に向けて、呂律についての基礎知識や具体的な改善方法などを全5回のコラムで解説していきたいと思います。

呂律と滑舌は別物です

呂律と滑舌の違いについて専門解説「呂律が回らない」と同じようなニュアンスで「滑舌が悪い」という言葉もあります。話がたどたどしいなどの意味で使われていますが、厳密には意味が異なるのです。

・呂律が回らない
舌をうまく動かすことができず、発音がうまくできない状態

・滑舌が悪い
言葉を滑らかに発声できない状態

つまり、呂律舌がうまく動かない状態滑舌言葉が滑らかに発音できない状態という違いがあります。一般的には、「滑舌が悪い」よりも「呂律が悪い」の方が状態の悪いときに使われることが多いです。

呂律が悪いのは発声発語器官が問題!

呂律の説明をする前に、言葉を発するときの仕組みについて説明したいと思います。言葉を発してコミュニケーションをしていますが、具体的に呂律が悪いとはどの段階の問題なのかをご紹介します。

例)「時計」と言いたいとき、脳内では以下のようなことが起こっています。

①言語中枢で「と」「け」「い」の音の配列や意味の照合を行う

②「とけい」と発音しなさい!という指令が大脳皮質の運動野から出る

③錐体路という神経の道を通り、舌などの発声発語器官に言語情報が伝わる

④発声発語器官が「とけい」の動きをする

このような流れで私たちは言葉を発しています。舌や唇など発音に必要な器官のことを専門用語で発声発語器官といいます。呂律に問題が生じるのは、④「とけい」の発音の段階です。

舌の運動神経を解説!

次に、呂律に必要な舌の運動神経ついてご紹介します。舌を動かすためには運動神経が必要です。この神経に問題が生じても呂律が回らなくなってしまいます。

舌の運動神経は錐体路を通り発声発語器官へと伝わります。錐体路は、大脳の表面である大脳皮質から脳の中心部にある延髄を通り、目的の器官まで情報を届ける道です。

神経は大まかに、大脳皮質から延髄までを中枢神経、延髄から各運動器官までを末梢神経と分けられます。このうちのどこかを損傷してしまうと発声発語器官に問題が起こります。具体的には以下のようになります。

・中枢神経の障害:痙性
 舌の力が入りすぎてしまう

・末梢神経の障害:弛緩
 舌の力が入らなくなる

・小脳などの障害:協調運動障害
 ちょうどいい動きをする

詳しく説明すると、もっと掘り下げることもできますが、これらが代表的なものです。他にもパーキンソン病など変性疾患による運動障害などもあります。

呂律をセルフチェック!

呂律が悪くなってしまう原因をセルフチェックしてみましょう!

以下に呂律に関する質問があります。実際に舌を動かしたり発音したりして、当てはまるものにチェックをしてください。呂律のセフルチェックする表セルフチェックで当てはまるものはありましたか?当てはまったものを詳しくみていきましょう。

呂律セルフチェックの結果の一覧1・2・3に当てはまった方は「機能性構音障害の可能性あり」、4・5・6に当てはまった方は「器質性構音障害の可能性あり」、1・2・4・5・7・8に当てはまる方は「運動障害性構音障害の可能性あり」となります。

構音とは発音の専門用語です。呂律が回らないと言うのは発音がうまくできないことをいいます。つまり、構音障害である可能性が多いです。

呂律が悪くなる原因

では、呂律が悪くなる原因を一つ一つ詳しくご紹介したいと思います。セルフチェックの結果に沿って説明します。代表的な呂律が悪くなる原因は、以下の4つです。

呂律が回らなくなる4つの原因

1.機能性構音障害
機能性構音障害とは、明らかな原因がないにも関わらず、うまく発音することができません。主に舌の癖や舌が不器用であることが原因です。一般的に滑舌が悪いといわれる人は、この機能性構音障害であることが多いです。

2.器質性構音障害
器質性構音障害とは、発声発語器官に構造的な問題が生じることで起こります。この構造的な問題は大きく2つあります。①舌小帯短縮症や口唇口蓋裂のような先天的な問題②事故や手術などによる後遺症のような後天的な問題です。このように、発音に必要な舌などを正しく動かすことが構造的に難しい状態をいいます

3.運動障害性構音障害
運動障害性構音障害とは、脳血管疾患や事故などが原因で起こります。発音に必要な運動を司る脳の部位を損傷してしまうことにより、神経の伝達に問題が生じてしまいます。これにより、発声発語器官に麻痺などが出てしまい、うまく発音することができなくなります。

4.アルコール
アルコールを摂取し、酔いがまわると脳に様々な影響を及ぼします。まず、脳の延髄に影響がでます。すると、理性によって抑えられていた本能や感情の活動が活発になってしまいます。さらに酔いがまわると、大脳全体の動きが抑制されてしまい、発音がはっきりできなくなります。

このように、呂律が回らないといっても原因は様々です。アルコールが原因のものは酔いが冷めれば、呂律は元に戻ります。しかし、そのほかの3つを改善するには練習などが必要です。

呂律の改善策は3つ!

呂律を改善するための方法をご紹介します。原因に応じた練習方法を正しく選択することが呂律を改善するポイントです。具体的には以下のようになります。

呂律を改善する3つの対処法

1.機能性構音障害の場合
まず、問題となっている舌の癖を治します。その後、正しい発音方法の練習を繰り返すことで改善を目指します。

機能性構音障害の改善には、“なんの音が どのように苦手か”を知って、正しい発音を身につけることが一番の近道です。焦らず、練習方法や練習すべき音が合っているかを確認しながら練習をしてみて下さい。

2.器質性構音障害の場合
問題の程度に応じた対処が必要になります。必要な治療(手術など)を行った後、発音の練習を行うことが多いです。気になる場合は、医療機関への受診をお勧めします。

3.運動障害性構音障害の場合
麻痺が生じている部分や程度など、発声発語器官の状態に合わせた練習を行います。

原因によって、練習方法は異なります。同じ呂律を改善するための発音練習でも、原因が異なれば練習内容も異なります。また、どのような原因であっても、言葉のリハビリの専門家である言語聴覚士と練習を行うことが多いです。

次回は舌を器用にする方法を教えます!

呂律が悪くなってしまう原因は様々で、改善方法も原因によって異なることがわかりました。具体的にどのような改善方法があるのかを次回以降のコラムでご紹介します。

コラム② 呂律が回らない原因の対処法「舌の正しい使い方」を専門解説
コラム③ 呂律が悪くなった時の改善策「舌の癖を治す」練習方法
コラム④ 呂律を改善する「舌の運動法」運動障害性構音障害の改善策

コラムを通して、呂律を改善するための方法をわかりやすくご紹介していきたいと思います!呂律を良くする方法を正しく知り、コミュニケーションをより楽しみましょう!

次回は、呂律が回らない原因の対処法「舌の正しい使い方」についてご紹介します。お楽しみに♪

★呂律が回らないは発声発語器官の問題!原因にあった改善方法を選ぼう!

 



*出典・参考文献・書籍・サイト
1)医療情報科学研究所:病気がみえるvol.7 脳・神経 第1版 株式会社メディックスメディア P238〜241 2011
2)本間慎治ら:言語聴覚療法シリーズ7 改定 機能性構音障害 建帛社 P11〜116 2007
3)西尾正輝:ディサースリアの基礎と臨床 第1巻 理論編 インテルナ出版株式会社 P69〜72 2006
4)KIRIN:血中アルコール濃度と酔いの程度 http://www.kirin.co.jp/csv/arp/fundamental/blood.html

呂律コラム
滑舌コラム
舌コラム
滑舌悪い原因コラム
滑舌練習コラム
滑舌良くするコラム
滑舌トレーニングコラム

原因別3つの練習法を実践しよう