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舌回しや筋肉トレ、構造について解説します

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~ 滑舌コラム ~ 舌回しや筋肉トレ、構造について解説します①

みなさんはじめまして!言語聴覚士の林です。私は、言語聴覚士として滑舌にお困りの方へ改善レッスンを行っています。

皆さんは「舌」と聞くとどのようなことが思い浮かびますか?コミュニケーションや滑舌なんかを思い浮かべる方もいれば、食べることを思い浮かべる方もいらっしゃると思います。舌はコミュニケーションや食事といった、私たちが生活をしていく上で、とても大切な役割を担っている部分です。

最近では、テレビなどで舌回しや滑舌という言葉を耳にする機会も増えてきました。これは舌への関心や滑舌が悪いと悩んでいる方が多いということかもしれませんね。

このコラムでは、滑舌に悩んでいる方やより良くしたいという方に向けて「舌」と「滑舌」の関係や舌の構造、筋肉のトレーニング方法などを全5回のコラムで解説していきたいと思います。

 

滑舌が悪い人が悩んでいる事とは?

滑舌が悪いと、当然ですが不明瞭な発音になってしまいます。すると、聞き返されることも多くなってしまうかもしれません。会話の中で何度も聞き返されてしまうのは、とてもストレスですよね。

悩んでいる方は、このようなことをおっしゃる方が多いです。

・話していると舌が回らないと感じることがある
・さ行がうまく言えない
・ら行がうまく言えない
・舌の構造に問題があるのかも
・舌に変な癖があるのかも

このような悩みを抱えていては、話すことが億劫になってしまいます。また、人前で話すことを恥ずかしいと感じてしまったり、コミュニケーションをとる機会を減らしてしまうなんてこともあるかもしれません。

このように滑舌について悩んでいる方は、機能性構音障害である可能性が高いです。機能性構音障害とは、舌に明らかな問題がないにもかかわらず、発音が悪くなってしまうことをいいます。つまり、舌が不器用なために滑舌が悪くなってしまうことです。滑舌の悪い方は「舌」が悩みの種だと言っても過言ではありません。

他にも、話すために必要な部分の構造や病気の後遺症など様々なことが原因で発音に問題が生じることもあります。ですので、絶対に舌だけの問題だと言い切ることはできません。詳しくはこちらのコラムをご覧ください。

 

自己診断で動きをチェック!

では、悩みの原因が舌にあるかを知るためには、どうしたらよいのでしょうか。

簡単な質問と筋肉運動をしてセルフチェックをしてみましょう。当てはまるものにチェックしてください。

1.□ 同じ音を言い誤ることが多い。
2.□ 同じ音が歪んでしまうことが多い。
3.□ スピードの速い会話についていけないことがある。
4.□ 舌の先端で口の中の天井を触ることができない。
5.□ 舌の先端で上唇を触ることができない。

セルフチェックで当てはまるものはありましたか?当てはまったものを詳しく見ていきましょう。

・1、2、3に当てはまった方
機能性構音障害の可能性があります。舌の癖が原因で滑舌が悪くなっているかもしれません。
・4、5に当てはまった方
機能性構音障害ではなく、別の原因が考えられます。舌などの構造や動きに問題がある可能性があります。気になる場合は、医療機関への受診をお勧めします。

 

原因は動きの癖?!

では、舌がどのような状態だと滑舌が悪くなってしまうのでしょうか。

日本語の発音方法を詳しく教わったことはないという方がほとんどかと思います。それは、生まれたときから親などに話しかけられることにより、その言葉を聞いて母国語(日本語)を獲得しています。この過程で自然と発音も身に付けているのです。

この日本語の発音を獲得していく過程で、なにかしらの原因で発音に問題が起きてしまうのが機能性構音障害です。機能性構音障害の方は、

・日本語に本来ない発音をしてしまう
・舌が十分な発音をしていない

といった理由から滑舌が悪くなってしまいます。このように舌に明らかな問題がないのに、滑舌が悪くなってしまうのは舌の動きに癖があることが原因です。

人それぞれ話し方には特徴や癖のようなものがあります。例えば、

「この人はふわふわした話し方をするな」
「ハキハキと話をする人だな」

とか感じたことがあると思います。これも、舌の動きの癖によるものでありその人の話し方の癖になります。しかし、この話し方の癖も舌の動かし方よって起こるものですが、滑舌に悪い影響があるとは言えません。

舌の癖とは、舌に不必要な力が入ってしまいスムーズに発音することができない状態のことをいいます。つまり、発音に直接影響する舌の動きに癖があるということです。同じ癖でも、この癖は滑舌に様々な悪影響を及ぼしてしまいます。

 

悪影響の具体例を3つご紹介

舌の癖が滑舌に対して及ぼす悪影響を具体的にご紹介します。大きく以下の3つが考えられます。

①舌の脱力ができない
不必要な力が入ってしまうと、舌を自分でコントロールすることができません。不必要な力が入っているということは、力んで頑張っている状態ということです。このせいで、柔軟な動きをすることができません。そのため、発音動作が曖昧になり音が歪んでしまったりします。

②得意な発音しかしない
舌が比較的得意な動き(発音動作)に勝手に変えてしまうことがあります。苦手な動きはせずに得意なやりやすい動きを無意識にしてしまうのです。違う動きをしてしまうのですから、音自体が変わってしまったり曖昧な発音になってしまったりします。

③正しく発音せず曖昧な発音にしてしまう
正しい発音をしようとしているけれども、舌の動きが不十分になってしまう状態をいいます。本来必要な動きが十分に行われないので発音は曖昧になってしまいます。また、十分な動きができないため、他の動きになってしまうなんてこともあります。

これらの3つは単独で存在していることは少なく、何かしらの形で関わりあっています。ですので、滑舌に悩んでいる方の多くはこの3つのうち2つ以上に悩んでいる可能性があります。

例えば、脱力がうまくできないから、正しい動き(発音の動作)ができない。だから、得意な動きの発音に変えてしまうといったことが口の中では起きてしまっているのです。

 

癖を改善することから始めよう

このように舌の癖は滑舌にとても悪い影響があります。滑舌を良くするためには、まずはこの癖を改善することが必要だということがわかると思います。

滑舌コラムでもご紹介したように、滑舌は自分の舌の癖を見極めて練習を繰り返すことで発音を良くすることはできます。しかし、時間と繰り返し練習することが必要でした。

今回の舌コラムでは、なんで舌が滑舌を改善するために大切なのかをより詳しく紹介していきたいと思います。例えば、母音と子音では発音の方法が全く異なります。母音と子音それぞれに発音方法があります。この違いを知らずに、ただ闇雲に発音を繰り返したりしていても滑舌は良くなりません。逆に、力みが強くなってしまったり、全く良くならないなんてことにもなりかねません。

舌の構造や日本語の発音について詳しく解説していきますのでより詳しく知っていただき、自分の今の状況を細かく分析して、滑舌の改善に活かしていきましょう。

 

癖を筋肉体操やコツで直そう!

このように、滑舌が悪くなる原因は機能性構音障害であることが多いです。この機能性構音障害による舌の癖は滑舌に悪影響を及ぼします。この癖を直す事で滑舌を改善することができます。次回以降はより詳しく紹介していきます。内容は以下の通りです。

コラム2 舌回しは筋肉体操の1つ。滑舌は舌の癖の改善から
コラム3 舌回しも筋肉トレーニングの1つ!感覚を鍛えよう
コラム4 舌のトレーニング方法で「正しい発音」を身に付ける
コラム5 舌のトレーニング方法で滑舌改善を目指そう

滑舌を改善することができるといっても、すぐに良くすることはできません。まずは舌の癖を取り除き、正しい発音の練習を繰り返しする必要があります。その過程で、舌についての知識を持つことで疑問や不安を解消しながら練習に取り組むことができるでしょう。

意識して練習を続けていけば、少しずつ改善することはできます。滑舌を良くしてより充実したコミュニケーションを図りましょう!次回のコラムもお楽しみに♪

★舌回しについての関心が高まっています
★舌回しも筋肉体操の1つ
★コツをつかんでクセ直しを

 

参考文献・書籍
1)阿部雅子. "構音障害の診断と治療." 音声言語医学 43.3 (2002): 316-324.
2)本間慎治ら:言語聴覚療法シリーズ7 改定 機能性構音障害 建帛社 P11〜116 2007
3)西尾正輝:ディサースリアの基礎と臨床 第1巻 理論編 インテルナ出版株式会社 P69〜72 2006
4)小寺富子:言語聴覚療法臨床マニュアル 改定第2版 協同医書出版社 P348〜397,418〜439 2004



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