>
>
>

吃音の原因や特徴、治療法について言語聴覚士が徹底解説

吃音,原因

~ 吃音原因コラム ~ 吃音の原因や特徴、治療法について徹底解説-言語聴覚士監修①

吃音の原因を専門家が解説します!

みなさん、はじめまして!言語聴覚士の林です。私は、言語聴覚士として滑舌にお困りの方へ滑舌改善のレッスンを行っています。本コラムでは、「吃音の原因」について詳しく解説をしていきます。しっかりと対策をお伝えしたいので、このコラムを含めて2回に分けてご紹介していきたいと思います。このコラムは、全部で9分くらいかかります(^^; 少し大変ですが、ぜひお付き合いください。

吃音の原因を専門家が解説しています

みなさんは「吃音(きつおん)」や「どもり」と聞いてどのようなことを思い浮かべますか?言葉に詰まってしまったり、うまく言葉が出なくて不甲斐ない思いをしたり…このようなことに悩んでいる方が多いのではないでしょうか。

吃音やどもりという言葉は耳にするけれど、具体的にどのようなものなのかを知らない人が多いかもしれません。また、吃音に悩んでいる人の多くは、専門家による指導を希望しても指導を受けることができていないという調査もあります。

吃音に悩む方がコミュニケーションの壁を減らすには、治療はもちろんコミュニケーションをとる人の認識も必要です。そのためには、お互いに正しい知識を持つことが第一歩です。吃音の原因や正しい治療法について学ぶ事が大切このコラムでは、吃音の原因について詳しくご紹介していきます。吃音の原因が分からず不安な方、吃音で悩んでいる方や、どもらずに話せるようになりたいという方、吃音の人と関わる方に向けて吃音の原因や症状、その対処方法などを解説していきたいと思います。

吃音は話すことを諦めさせることも…?!

このような経験をしたことはありませんか?

・たどたどしい話し方になってしまった
・また、出てこない…
・話し方が変だなって思われてないかな

話し方を気にしてしまうあまり、自分の言葉で気持ちを伝えることが難しくなってしまうこともあると思います。

このような悩みを抱えていては、話すことが嫌になり発話意欲が減退してしまったり、発話に対する不安、対人恐怖などにつながってしまい、日常生活でのコミュニケーションで困ってしまいます。

まずは、吃音についての正しい知識を確認しましょう。

吃音の特徴を知ろう!

吃音とはどのようなものなのでしょうか。

吃音とは
「流暢なスピーチを達成する協調性の破綻に起因する言葉の流暢性の障害の1つ(言語聴覚療法臨床マニュアルより抜粋)」
と定義されています。

つまり吃音とは
なめらかに話すことができない状態
です。

現在、全人口の約1%が吃音に悩んでいるといわれています。1%というとなんだか少なく感じますが、日本では100人に1人の人が吃音に悩んでいることになります。こうみると吃音で悩んでいる人が多くいることがわかります。

では、吃音の特徴をご紹介します。

・発症:2〜4歳が多く、ほとんどが7歳までに発症
・発症率:約5%

そのうちの約50%が自然治癒、もしくは簡単な指導で治癒

・男女差:男;女=3;1
・吃音児の約50%が家族に吃音児者がいる

吃音はこのような特徴があります。

吃音を原因別の分類を知ろう!

次に、吃音の原因と分類を解説します。吃音は発生する原因によって分類があり、具体的には「発達性吃音」と「獲得性吃音」に分かれ、獲得性吃音はさらに2つに分けられます。詳細は以下の通りです。

①発達性吃音:幼児期に明らかな原因がないにも関わらず発症

②獲得性吃音:明らかな原因によって発症
・神経原性吃音:脳血管疾患や変性疾患、頭部外傷など脳の損傷が原因で発症
・獲得性心因性吃音:心理社会的原因で発症

獲得性神経原性吃音のように原因がわかっているものもありますが、吃音のほとんどが原因不明です。吃音児者の9割が明らかな原因が分からない発達性吃音だといわれています。

吃音の症状とその原因を徹底解説!

吃音の特徴や分類がわかったところで、症状について説明したいと思います。吃音治療に関わる専門家はただ「どもった!」ということを見ているのではなく、どもってしまった状況など様々なことを見て、吃音症状の改善に生かします。

吃音の症状は中核症状を含む発話症状が主で、それによって起こる二次的な行動があります。この中核症状と二次的な症状が複雑に進展していきます。具体的な吃音の症状は大きく以下の5つがあります。

①発話症状

自分の意思に反して起こる
発話症状は自分自身の意思に関係なく現れてしまいます。どもりたくないと思っていてもどもってしまい、自分でコントロールすることができません。

発話症状とは?
吃音の発話症状は中核症状の3つを含む吃音者に特徴的なもの、正常者にもみられるものやプロソディーや声の高さの異常などがあります。

②随伴症状(身体症状)

自分の意思で起こるわけではない
随伴症状も発話症状と同様に、自分の意思に関係なく現れてしまいます。そのため、自分でコントロールすることが難しいです。

体に起きてしまう必要以上の反応
随伴症状とは、正常な発話に必要とされる以上に口や顔面、頭部、腕や足など身体が動いてしまう状態をいいます。具体的には、表情がこわばってしまったり、体が過度に緊張して力んでしまうなどがあります。

③工夫(二次的な症状)

どもるのが怖くて起こる
工夫はブロックなどの発話症状が起こることを避けるために起こります。どもることへの恐怖や恥ずかしさが原因です。

どもらないため回避行動
工夫とは、吃音症状から脱しようとしたり、勢いをつけるための助走、目的とする言葉を言い換えるなど吃音状態を避けようとする行動です。自分の吃音症状に注目しすぎてしまうものも含まれます。

④考え方

吃音の苦しみから起こる
吃音症状やそれによるコミュニケーションの失敗によって否定的な自己認識やネガティブな価値観が生じてしまうことが原因です。

自己否定してしまう
吃音症状が現れることは劣っているという考え方やそんな自分は他より劣っているという考え方のことです。具体的には「どもって話せないことはダメ=どもってしまう自分はダメな人間だ」などです。このように吃音に対する否定的な考え方が自己をも否定してしまいます。

⑤情緒・感情

吃音に対する否定から起こる
否定的な感情が吃音であることが原因で感じてしまう辛さや恥ずかしさなどの感情が生じてしまいます。

吃音からくる辛さや恥ずかしさ
ここでいう情緒や感情とは、はにかみ、恥じらい、辛さ、悲しみなどの否定的な心理状況をいいます。これらの感情を自覚することで、吃音症状の出現にさらに恐怖を感じることが増えることもあります。

 

吃音の症状の多くは自分の意思に反して出現します。そして、その症状が出現することによって現れる考え方や感情なども「吃音によって生じる症状」となります。吃音の症状とそれによって生じる二次的な症状や心理状態のどちらも考慮しながら改善を目指していく必要があります。

吃音に悩む原因について解説しています

吃音に悩む原因は中核症状!

吃音の症状についてわかったところで、吃音の基本症状である中核症状について詳しく解説したいと思います。本人の意思とは関係なく起きてしまう中核症状は、吃音に苦しむ方の原因といっても過言ではありません。具体的には以下のようになります。

1.繰り返し
単語のはじめの音や、音節、単語のそのものを繰り返してしまう

例)と、と、と、とけい

繰り返しは、話しはじめに現れて、それ以降は流暢に話すことができます。しかし、話すことをやめ再び開始すると繰り返しが現れてしまいます

2.引き伸ばし
話し始めなどの1音を伸ばしてしまう

例)と−――けい

引き伸ばしは、特に話し始めの1音を引き伸ばしてしまいますが、話している途中でも不自然な引き伸ばしが現れることがあります。

3.ブロック
何かを話そうとするとき、その話そうとする最初の言葉がつまってしまう

例)っ……っとけい

ブロックは、話し始めることが困難になるあまり、表情がこわばってしまったり、身体がこわばってしまうなどの身体症状が現れてしまうことも多いです。

これらは、お互いに症状の出現を避けたり隠すために、他の症状や二次的症状でカモフラージュしようとしてしまうことがあります。具体的には、ブロックや繰り返しを隠すために音を引き伸ばしてしまうなどです。吃音の症状は互いに影響し合って現れてしまいます。

健常者にも現れる⁈吃音の発話症状

発話症状には吃音症状の基本の中核症状と吃音でない人にも現れるものがあります。具体的には以下の5つあります。吃音の原因や発話症状について解説していますこれらは、吃音でない人(健常者)も起こりますが、吃音の症状を避けたり隠すために意図的に用いられる場合、吃音の二次的症状として捉えます。

吃音が現れやすい状況とは?

吃音の症状がわかったところで、吃音症状が現れやすい状況をご紹介して行きます。具体的には以下のような場面で吃音症状が現れることが多いです。

自分の会話が注目されるとき
→授業での音読、レストランなどでの注文、等

失敗が許されないとき
→面接、発表、プレゼン、等

吃音を意識して話すとき
→吃音だと知らない人や吃音に対して否定的な人との会話、等

これらに共通していることは自分の発話に不安が強くなってしまうことです。吃音症状を意識するあまり、逆に吃音症状が出やすくなってしまう可能性があるといわれています。

吃音の改善方法を知ろう!

最後に、吃音の治療方法を紹介したいと思います。具体的な吃音の改善方法は以下のようになります。

①直接法
意図的に話し方をコントロールし流暢な発話を目指す

具体的には、
・流暢性形成法
・吃音緩和法
・統合的アプローチ
などです。

②間接法
意図的な話し方のコントロールは行わず、正常な発話を促していく

具体的には、
・発話環境の調整
・系統的脱感作法
・自律訓練法
・メンタルリハーサル法
などです。

③薬物療法
精神科医の指示の元、必要な薬を使い不安をコントロールする

これらの方法の中で、個々に必要なものを組み合わせて吃音症状の改善を目指します。①直接法と②間接法を併用して改善を目指していくことが多いです。吃音の原因など正しい知識を学び対処しよう

原因に応じた吃音の治療法!

吃音は十分に理解されているとはいえないかもしれません。しかし、吃音で悩んでいる方が多くいることも事実であり、どこで治療を受けたら良いのかわからず、治したいと願っている人が治療を受けられずにいるのが現状です。

改善するべきか受け入れるべきか、吃音に対する考え方は人それぞれ異なると思います。しかし、どちらにしても正しい知識を得て、状況に応じた判断をする必要があります。

コラムを通して吃音についてわかりやすくご紹介していきたいと思います!吃音を正しく理解して、コミュニケーションをより楽しみましょう!次回の吃音原因コラムでは「原因に応じた吃音の治療法」についてご紹介します。

★吃音の症状は言語症状だけじゃない
★症状が現れる原因は様々な要因がある
★個々にあった吃音の改善が必要

 



*出典・参考文献・書籍
1)小寺富子:言語聴覚療法 臨床マニュアル 改定第2版 共同医書出版社 P418〜439 2007
2)小林宏明. "吃音をもつ人への指導・支援の実態と要望に関する調査: 言友会会員を対象として." コミュニケーション障害学 21.2 (2004): 88-96.
3)赤星俊, et al. "吃音検査法< 試案 1> について." 音声言語医学 22.2 (1981): 194-208.
4)都築澄夫:間接法による吃音訓練 自然で無意識な発話への遡及的アプローチ-環境調整法・年表方式のメンタルリハーサル法- 三輪書店 P4〜164 2015.

吃音原因コラム
吃音(どもり)コラム
どもりコラム
どもり原因コラム
どもり治し方コラム
吃音治療コラム

改善方法や治療法など正しい知識を学ぼう