>
>
>

吃音とは?原因や改善方法を専門家が解説

吃音,とは,原因

~ 吃音(どもり)コラム ~ 吃音とは?原因や改善方法を専門家が解説①

吃音とは?専門家が徹底解説

みなさんはじめまして!言語聴覚士の林です。私は、言語聴覚士として滑舌にお困りの方へ滑舌改善のレッスンを行っています。

みなさんは「吃音」や「どもり」と聞いてどのようなことを思い浮かべますか?言葉に詰まってしまったり、うまく言葉が出なかったり…このようなことに悩んでいる方が多いと思います。

ある調査では、成人吃音者の約70%の方が吃音に対する指導を受けたことがあるという結果があります。そのうちの約60%が民間施設での指導ですが、吃音に悩んでいる方の多くは専門家の指導を受けたいと思っているそうです。しかし残念なことに、言語聴覚士などの専門家による指導のニーズが高いにも関わらず、そのような指導を行っている施設が少ないのが現状です。そのため、希望していても指導を受けることができないことが多いです。

このコラムでは、吃音で悩んでいる方や、どもらずに話せるようになりたいという方に向けて、基礎知識として原因や改善方法などを全5回のコラムで解説していきたいと思います。

 

吃音とは、自分の言葉を少なくする

生活する中でコミュニケーションをとるとき、「どもってしまう」「言葉がスムーズに出てこない」という悩みを抱えていては、会話を楽しむどころではありませんよね。

・どもってないかな…
・変な話し方って思われてないかな…

このように話し方を気にしてしまうあまり、自分の言葉で気持ちを伝えることが難しくなってしまうこともあると思います。

このような悩みを抱えていると、発話意欲の減退、発話に対する不安、対人恐怖などの二次的な症状につながってしまうため、日常生活でのコミュニケーションで困ってしまいます。

 

吃音とは?まずは知ろう!

では、吃音とはどのようなものなのでしょうか。まずは基礎知識をご紹介したいと思います。

吃音とは、「流暢なスピーチを達成する協調性の破綻に起因する言葉の流暢性の障害の1つ(言語聴覚療法臨床マニュアルより抜粋)」と定義されています。つまり、なめらかに話すことができない状態をいいます。症状は中核症状の音・音節・語の一部の繰り返し、引き伸ばし、ブロックと、それによって起こる二次的な行動があります。中核症状と二次的な症状が複雑に進展していきます。

そして、どのくらいの人が症状に悩んでいるかご存知でしょうか。
現在、全人口の約1%が吃音に悩んでいるといわれています。1%というとなんだか少なく感じますが、日本では約120万人です。100人に1人が吃音に悩んでいることになります。こうみると実際に悩んでいる方は決して少なくないといえるでしょう。

吃音の特徴を以下にまとめてみました。

・発症:2〜4歳が多く、ほとんどが7歳までに発症
・発症率:約5%
 そのうちの約50%が自然治癒、もしくは簡単な指導で治癒
・男女差:男;女=3;1
・吃音児の約50%が家族に吃音児者がいる

 

吃音の原因とは何?

では、なぜ吃音になってしまうのでしょうか。原因と分類について説明したいと思います。以下の通りになります。

獲得性神経原性吃音のように原因がわかっているものもありますが、ほとんどが原因不明です。また、吃音児者の9割が発達性吃音だといわれています。

 

吃音の症状とは?確認しよう!

先ほどは吃音の原因についてふれましたが、ここからは症状について紹介したいと思います。専門家はただ「どもった!」ということを見ているのではなく、どもってしまった状況など様々なことを見て、改善に生かします。その項目は大きく以下の4つに分けることができます。

①言語症状
中核症状を含む吃音者に特徴的なもの、発話開始の直前にみられるもの、正常者にもみられるもの、プロソディーや声の高さの異常などの症状のこと

②随伴症状
正常な発話に必要とされる以上に口や顔面、頭部、腕や足など身体が動いてしまうこと

③工夫
吃音症状から脱しようとしたり、勢いをつけるための助走、目的とする言葉を言い換えるなど吃音状態を回避しようとする行動のこと

④情緒性反応
はにかみ、恥じらいなど吃音症状が現れたときの身体的反応のこと

このように言語症状だけでなく、行動や感情なども「吃音によって生じる症状」も吃音の症状となります。また、吃音によって起こる二次的な症状や心理状態も含めて改善を目指していきます。

 

改善方法とは?吃音を更に知ろう!

吃音の治療方法を紹介したいと思います。吃音の治療方法大きくは①直接法と②間接法の2種類に分けることができます。

①直接法:意図的に話し方をコントロールし流暢な発話を目指す発話訓練

具体的には
・流暢性形成法
・吃音緩和法
・統合的アプローチ
などがあります。

②間接法:意図的な話し方のコントロールは行わず、正常な発話を促していく訓練

具体的には
・発話環境の調整
・系統的脱感作法
・自律訓練法
・年表方式のメンタルリハーサル法
などがあります。

この2つの方法の中で合うものを選び、組み合わせて改善を図っていきます。

 

時期別に違う!吃音の特徴を知ろう

吃音は時期によって症状などの特徴が大きく異なります。そのため、治療は症状に応じてはもちろんですが、対象となる吃音児者の年齢に応じて方法や対応を変えます。幼児期/学童期/成人の3つの時期に分かれます。時期別にどのような特徴があるのかを解説していきたいと思います。

・幼児期:発症が一番多いといわれている時期です。
この時期は言語症状が主で、症状に波があることが多いです。自覚がないことが多く、工夫や情緒的反応などの症状は少ない傾向にあるといわれています。しかし、自覚がある幼児もいるため心理的なケアも場合によっては必要になります。

発達途中のため経過を追いながら発達の負担にならないように治療を進めます。幼児がストレスを感じないように配慮しつつ会話をし、流暢な話し方を日常生活への般化を目指していきます。

・学童期:症状が悪くなりやすいといわれている時期です。
症状は様々であり、自覚の程度や受け止め方にも個人差が大きいです。また、就学し周囲からの反応が気になることも多くなり、発話に対する不安や恐れにつながりやすい時期でもあります。

学童期の治療は幼児期と異なり本人や両親だけでなくクラス担任へのアプローチも行います。具体的には以下のようなことを行います。直接法と間接法を組み合わせながら、本人だけでなく周りの環境も含めて改善を図ります。

・成人:個人差がとても大きいです。
症状はもちろんですが、自覚や受け入れ方、考え方も個々で様々です。また、心理的な負担が大きい場合もあります。

この時期は意図的に流暢な発話をコントロールすることを目標にすることが多いです。より直接的な発話の流暢性の改善を目指します。また、自身の吃音に対する肯定的な受け入れを確立・維持することも含まれます。

言語症状への直接的アプローチ、受け入れ方(考え方)へのアプローチ、環境へのアプローチの3方向から治療を行います。

学童期同様に直接法と間接法を組み合わせて改善を図っていきますが、個人の症状や希望などに応じて目標やアプローチの方向が異なります。

このように時期によって特徴が異なります。

 

治す方法とは?次回から確認しよう!

吃音とはどのようなもので原因についても触れました。そして、治療といっても時期によってアプローチが異なることもわかりましたね。では、具体的にどのようなことを行なって改善を図っていくのかを次回以降のコラムでご紹介します。内容は以下の通りです。

コラム2 吃音とは?原因は?直接法について知ろう②
コラム3 吃音とは?原因は?間接法について知ろう③
コラム4 吃音とは?治療には専門家の力を借りよう④
コラム5 吃音とは治療が目指せる⑤

吃音に対する考え方は様々です。もしかしたら十分に理解されているとはいえないのが現状かもしれません。しかし、悩んでいる方が多くいるのも事実です。また、どこで治療を受けたら良いのかわからず、治したいと願っている人が治療を受けられずにいるのが現状です。

改善するべきか受け入れるべきか、考え方は人それぞれ異なると思います。しかし、どちらにしても正しい知識を得て判断する必要があります。

コラムを通して吃音についてわかりやすくご紹介していきたいと思います!正しく理解して、コミュニケーションをより楽しみましょう!次回の吃音コラムもお楽しみに♪

★吃音の症状とは、言語症状だけじゃない
★原因には大きくわけて3つある
★直接的アプローチと間接的アプローチがある
★吃音とは、時期によって特徴が異なる

 

参考文献・書籍
1)小寺富子:言語聴覚療法 臨床マニュアル 改定第2版 共同医書出版社 P418〜439 2007
2)小林宏明. "吃音をもつ人への指導・支援の実態と要望に関する調査: 言友会会員を対象として." コミュニケーション障害学 21.2 (2004): 88-96.
3)赤星俊, et al. "吃音検査法< 試案 1> について." 音声言語医学 22.2 (1981): 194-208.
4)都築澄夫:間接法による吃音訓練 自然で無意識な発話への遡及的アプローチ-環境調整法・年表方式のメンタルリハーサル法- 三輪書店 P4〜164 2015.
5)坂田善政, and Yoshimasa Sakata. "成人吃音の臨床." 言語聴覚研究 12.1 (2015): 3-10.



吃音(どもり)コラム

専門家が詳しく解説します!