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標準語について専門家が詳しく解説します

標準語

~ 声のコラム ~ 標準語が話せない問題と解決策を専門家が解説①

標準語について専門家が徹底解説!

みなさんはじめまして!言語聴覚士の林です。私は、言語聴覚士として滑舌にお困りの方へ滑舌改善のレッスンを行っています。

みなさんは、「標準語」と聞いてどのようなことが思い浮かびますか?東京で話されている言葉、アナウンサーがニュースを読むときに使っている言葉、なまっていない言葉などが多いのではないでしょうか。

「標準語」とは、音韻・語彙・語法などすべての面で国語の規範として尊重され、教育・法令などの公用語として用いられる言語(大辞林 第三版より)のことです。

例えば、地方から上京してきた人が、まず悩むのが訛りではないでしょうか。

・上京したてで、訛りが抜けない
・イントネーションが変だと言われる
・イントネーションがわからない

このような悩みを抱えていては、仕事で発言を遠慮してしまう…、学校でコミュニケーションを避けてしまう…なんてことにもなりかねません。もしかしたら、コミュニケーションがうまくいかない…なんていう方もいるかもしれません。私自身も上京したての頃は、なまりをなくすのにとても苦労しました。

このコラムでは、標準語で話したい!標準語のことを知りたい!という方に向けて標準語の基礎知識や標準語話すための方法などを全5回のコラムで解説していきたいと思います。

標準語=共通語ではない!

標準語と間違えやすい共通語とはどのようなものなのでしょうか?実は、「標準語」と「共通語」は違うものなのです。

「共通語」とは、
①異なる言語を話す国民の間で、相互に思想や感情を伝え合うことのできる言語。
現在の英語は国際間の共通の言語として用いられることが多い。

②一国のどこででも、互いの思想や感情を伝え合うことのできる言語。
日本では東京語がこれにあたる。全国共通語。
 (大辞林 第三版より)

のことです。

「標準語」は、全国に共通して用いられるとともに人為的に整備された規範性の強いもの(大辞林 第三版)をいいます。これに対して「共通語」は自然に存在して全国に用いられるものとして区別する考え方によるもの(大辞林 第三版)とされています。

似ていると思われがちですが、厳密にいうと「標準語」と「共通語」は実は別ものなのです!

標準語=東京語ではない!

東京の周辺地域で多く使われている言葉のことを東京語、もしくは東京方言といいます。一般的に、標準語は東京語のことだと認識している方が多いと思います。しかし、厳密にいうと標準語=東京語ではないのです。

標準語と共通語と東京語は厳密には、別のものだとされています。しかし、その境界線は学者や研究によって様々ではっきりしないのが現状です。

ある研究では、固定読本で使われている言葉が標準語であるという結果が出ています。固定読本とは、明治37年〜昭和24年頃に使用されていた文部省著作の小学校用国語の教科書のことです。

東京語の歴史は意外と浅く、成立は明治元年ごろとされています。成立から展開までの時期は以下のように分けることができます。

・東京語の成立期:明治元年〜明治37年頃
・東京語の定着期:明治37年〜昭和24年頃
・東京語の展開期:昭和24年〜現在

このようにしてみると、私たちが現在話している東京語は歴史的にみると最近定着したものだということがわかります。そして、東京語の定着期に小学校で使用されていた教科書が固定読本なのです。

厳密にいうと標準語=東京語ではないかもしれませんが、普段の生活を送る上では標準語も共通語も東京語も大きな差はないのかもしれませんね。

日本語はピッチアクセント!

標準語を話すときに大切になるのがアクセントとイントネーションです。アクセントとイントネーションにはそれぞれルールがあります。まずはアクセントについて説明していきます。

アクセントとは、単語や単語と付属語(助詞など)のまとまりの音声学的な特徴のことです。単語などの語の意味を区別したりする働きがあります。大きく以下の2つ種類に分かれます。

・ピッチアクセント(高低アクセント)
→日本語(東京語):音の高低(高さ)によって決められる

・ストレスアクセント(強弱アクセント)
→英語:音の強弱によって決められる

東京語のアクセントは、単語ごとにそれぞれアクセント型を持っています。これは文の中でも変わることはありません。

例えば、

のように、単語の1つの音に対して高さがそれぞれ定められています。この単語ごとのアクセント型の違いから、私たちは意味を聞き分けています。

イントネーションは感情表現!

次は、イントネーションの説明をしたいと思います。アクセントは単語ごとに決まっているのに対して、イントネーションは文章単位で変わってきます。

イントネーションとは、話し手の感情や疑問などの文法的な意味を表す文章レベルでのピッチの変化のことをいいます。日本語のイントネーションは大きく以下の3つの種類に分けることができます。

・下降型:平叙文など
・上昇型:疑問文など
・平坦型

私たちは普段の生活の中で無意識に、自分の伝えたいことや感情に合わせてピッチ(音の高さ)を変化させて会話をしているのです。

標準語を話せているかわからない…原因を解説!

これらの音声学・言語学的な観点から、標準語で話せているかわからない、なまりがなかなか抜けないという原因を説明していきたいと思います。

標準語で話せているかわからない原因は大きく以下の3つに分けることができます。

1.標準語の発音がわからない
→同じ日本語でも、地方によっては発音が異なる場合があります。

2.アクセントがわからない
→東日本と西日本ではアクセントの形が逆の単語があるなど、地方によって単語のアクセントが異なります。

3.イントネーションがわからない
→イントネーションが崩壊しているといわれる地域もあるほど、地域によって特徴が分かれます。

これらが、主な原因です。この原因によって対処方法が異なります。

標準語を話すには、まずは自分を知ろう!

このように、ただ標準語を話したいといっても原因は人それぞれです。また、標準語といっても目指す話し方は様々だと思います。

標準語を話せるようになるには、まず自分の話し方を知る必要があります。自分が正しいアクセントを使えているのか、イントネーションのどこが変なのかを客観的に知ることが原因を見極めるためには必要です。

では、原因を知るための方法をご紹介したいと思います。

①ニュースや朗読など、自分が目指す標準語の話し方の音声もしくは動画を見つけます。物語の朗読だと、原稿が手に入りやすいです。
②録音機器を用意して、冒頭の1〜2文を読みます。
③録音した自分の声と自分の目指す話し方の音声とを聞き比べます。

自分の声のどこがどのように違うのかを見つけましょう!以下の点で当てはまるものにチェックをしてください!

□ 文章全体のイントネーションがおかしい
□ 単語のアクセントがおかしい
□ 発音がおかしい

チェックがついた項目が標準語を話せているかわからない原因です。1〜2文では原因を見つけられないこともあるので、繰り返し録音したり文章を変えたりして原因を探してみましょう。また、この方法をしなくても原因がわかる場合は、すぐに改善の練習に進んでしまいましょう!

次回は標準語の発音を解説します

標準語を話せているかわからない…という悩みは練習を積むことで、自分の目指す話し方に近づくことができます。次回以降は標準語で話せているかわからない…を解決するための方法について紹介していきます。内容は以下の通りです。

コラム2 標準語を話すために発音を知ろう!
コラム3 標準語を話すためにアクセントを知ろう!
コラム4 標準語を話すためにイントネーションを知ろう!
コラム5 標準語を話すためのポイントを確認しよう

コミュニケーションは交友関係が広くなったり、得られるものが多かったり、とても楽しいものです。訛っていることや話し方に特徴があることは、決して悪いことではないと思います。

しかし、それらが原因で悩んでコミュニケーションを避けてしまうのは、とても勿体無いことです。そのコンプレックスが解消されてコミュニケーションがより豊かなものになるよう、練習していきましょう!

標準語コラムを通して標準語や日本語のアクセントやイントネーションについてわかりやすくご紹介していきたいと思います!日本語の構造を正しく理解して、コミュニケーションをより楽しみましょう!次回の標準語コラムもお楽しみに♪

★まずは自分の話し方を知ろう!
★日本語はピッチアクセント
★イントネーションは感情表現の働きがある

 

*参考文献・書籍
1)今泉敏:言語聴覚士のための基礎知識 音声学・言語学 医学書院 P20〜159
2)飛田良文. "東京語成立史の研究." (1993).



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